ハッピークライシス

ペンライトでそっと照らす。
心臓に躊躇いもなく撃ち込まれた一発の銃痕。大量の血液が床に転がっていたのは、フィリップ=フェデリコ。

まさに、シホのターゲットである男だ。


ごくりと息を呑んだ。


ユエじゃない。
この先にいるのは、冷酷で、己の欲望にだけ忠実である"青薔薇"がいる。邪魔をすれば、次の瞬間フィリップと同じく彼に命を奪われるのだろう。



―そう簡単に、やらせはしないわ。青薔薇。


まず自分がすべきことは、シンシアが到着するまで少女を奪われないように守らねばならない。彼女はレヴェンの"資財のひとつ"であり、ドン・レヴェンは害となる可能性を持つ"謎"を確実に消し去ることをお望みだ。

法外な報酬の対価はあまりにも大きい。


生き絶えたフェデリコのSP達をいくつか飛び越えて、静かに寝室へと入る。そこには、血塗れのベッドに横たわる"リサ=フェデリコ"の姿があった。

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