ハッピークライシス
「・・・気の毒に」
感情の籠もらない声音で、ぽつりと漏らした、その時だった。死体だと思っていたリサの身体が、ぴくりと動く。
腕の立つ青薔薇が、しとめ損ねたとは考えにくい。彼女は、生かされたのか?シホは驚いてリサの顔をのぞきこんだ。
美しいアーモンドアイが見開かれる。恐怖に取りつかれたようにぶるぶると震え、逃げようともがくせいで、腹部と両太股に打ち込まれた銃痕から血が湧きあがった。
「嫌、嫌・・・・・ッ、助けてェ!痛い、痛い、・・・!!」
血塗れの手にいきなり腕を掴まれ驚いたシホは、反射的に彼女を振り払っていた。リサは両手で頭を抱え込み、ガチガチと歯を鳴らす。