ハッピークライシス
「…なあ、シホ」
「あんたがその顔する時って、大抵碌なこと考えてないわよね」
息が荒くなり、風が吹き抜けるような掠れた音が喉から漏れる。
涙と汗が頬を伝う。
「で、何?」
「…ずっとあの子のことを考えてる」
「あたしとセックスしながら、違う女のことを?…ほんと、最低な男よね、あんたって。どうせ、手に入れたらすぐに飽きるくせに。その欲しがり癖、どうにかしたら」
ユエが、シホの腰を抱きゆっくりと自身を宛がった瞬間、びくりとシホの身体が跳ねた。
何度経験しても、慣れない。身体の一番奥深くに侵入されていく瞬間に。身体の内側を圧迫感で受ける充足で、自然と甲高い声を上げてしまう。
腰を揺すられて、何度も何度も突き上げられて、苦痛すら伴う甘ったるい感覚に思考がどんどんと鈍くなる。