ハッピークライシス
シンシアは、この報告をどのようにボスに伝えるのだろう。青薔薇と一緒にいたなどと知れたら、シホが青薔薇と親密な関係であることにもすぐに気付かれてしまうことだろう。それは、シンシアも同様に。
レヴェンの財宝を奪う、青薔薇の片棒を担いでいたのだと誤解をされたら、シンシアは間違いなく消されてしまう。
―駄目だ。そんなこと、絶対にさせない。
ぎゅっと拳を握る。
身体を蠢くのは、押さえきれないほどの怒りと憎しみ。"家族"なんていう甘ったれた言葉を使いたがるくせに、結局、己の欲望のままにシホもシンシアも切り捨てようとする身勝手な男への失望。