雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜

「今度だけはオレのいう事を聞いてくれ」(3)


「ジレットから聞いたの。王子様の秘密って、目に見えるもので、見たら驚くものなんだって」


 だが、その手には乗らない。
 こちらには最優先事項がある。


「まるで謎々だな。漠然としすぎている。お仕置きを帳消しにできるほどの情報じゃないぞ」


 言ったと同時にロイドは、素早くユイの腕を掴んで引き寄せた。
 倒れ込んできた彼女を、両腕の中に閉じ込める。

 お仕置きがイヤで、ユイがいう事を聞くのだとしたら、それでもかまわない。
 たとえそのせいで、修復不能なまでに嫌われたとしても、ユイを守る事が出来るのなら。


「放して!」


 案の定ユイは、抵抗して身をよじる。

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