雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 ロイドはユイが身動きできないほど、きつく抱きしめ、耳元で囁いた。


「放さない。お仕置きだからな。おまえ、オレに触られるのがイヤなんだろう?」
「イヤよ」


 間髪入れずに、ユイは即答する。

 分かっていた事とはいえ、直接本人の口から聞かされると、かなり痛い。

 ロイドの口元から、諦めを含んだ笑いが、フッと漏れた。


「はっきりと言うんだな。じゃあ、イヤな事されたくなかったら、今度こそはオレのいう事を聞けよ。明日からはオレの側にいろ。側にいれば、必ず守ってやるから」


 ユイが抵抗を止めたので、ロイドは少し腕の力を緩め、顔を上げた。

 抵抗は止めたものの、緊張は隠せない。
 伝わるユイの鼓動は早く、見上げる黒い瞳は小さく揺れていた。

 ユイの温もりが、自然にロイドの表情を緩める。
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