雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
「まぁ、その通りですけど。ユイさんのお菓子は絶品ですし。でも本人は、なんか感覚が跳んでるっていうか、おもしろい人ですよね」

「まぁな」
「しかも……」
「とにかくニブイ!」


 言葉を受けて、ロイドはローザンと同時に声を上げた。


「オレはあの時ほど、あいつのニブさに呆れた事はないぞ」


 思い出して顔をしかめるロイドに、ローザンは身を乗り出して尋ねる。


「あの時って?」
「あいつが攫われそうになった日の朝だ」


 ローザンも思い出したらしく、のけぞって大声を上げた。


「あーっ。朝ロイドさんが、いきなりぼくを怒った日ですか。ロイドさんが顔を赤くしてたから何かあったのかと思ったら、やっぱり何かあったんですね」


 今さらローザンに隠し立てしても、しょうがない。

 ロイドは腕を組んで、あの朝のユイとのやり取りを話し始めた。

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