雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 ユイは俯いて、悪い奴に捕まっていたという殿下の心情を、切々と語る。
 ロイドは黙ってそれに耳を傾けた。

 不意にユイは顔を上げて、真剣な眼差しをロイドに注いだ。


「友達なんかじゃない。ボク、ロイドが好きだよ」


 何を企んでいるのか、さっぱり読めない。
 殿下に好きだと言われて、うろたえたところを笑うつもりなのだろうか。
 ロイドはもう少し静観する事にした。

 ユイは更に言葉を続ける。


「身分とか気にしなくていい。ボクの想いに応えてくれるなら、キスして」


 ロイドを見つめて少し上向くと、ユイは静かにまぶたを閉じた。

 どういうつもりかは分からないが、ユイの方からキスを求めるなど、願ってもない事だ。

 ロイドはうきうきした気持ちのまま、ユイの鼻先に軽く口づけた。
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