雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜

 束の間の出会いなら、深入りしない方がいい。
 別れが辛くなるだけだ。
 自分はともかく、ユイに辛い思いをさせたくはない。

 ユイがロイドの気持ちに気付かないままなら、別れの時、彼女の傷も浅くて済むだろう。

 すでにロイドは、レフォール殿下さえ見つかれば、ユイを帰す方法など分からないままでいい、と思う事が時々あった。

 装置から取り出した基盤を床に置き、ロイドはその側に座り込んだ。

 ドライバーを手に基盤の上に並ぶ、コンデンサ、集積回路、メモリチップ、バッテリボックス等、配線や回路、ネジのゆるみなどの確認をしていると、ユイが呼んだ。


「ロイド、お客さんだよ」


 ロイドが立ち上がって入口を見ると、厨房の女の子パルメが立っていた。

 側まで行って話を聞くと、調理機械の様子がおかしいので調べて欲しいと言う。
 それは料理長の提案で、ロイドが作ったものだ。

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