雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 ロイドは振り返り、自分がいない間にユイが勝手にうろつかないように釘を刺して、パルメと共に厨房に向かった。

 パルメの話では、調理機械の中から、出来上がった料理が忽然と姿を消すという。
 転送機能でもついているのかと問われたが、そんなものはついていない。

 一応、機械の調子を点検し、どこもおかしくない事を確認した。

 帰り際にパルメは、礼にと、ユイが作り方を教えたというお菓子を持たせてくれた。

 好きなだけ持って行っていいと言われたが、本当に好きなだけ貰うとなくなってしまいそうなので、ユイとローザンの分だけ貰う事にした。

 研究室に戻り、お菓子の入った紙袋を差し出すと、ユイが嬉しそうに笑いながら駆け寄ってきた。
 ユイは甘いお菓子を作るのが得意だが、食べる方も好きらしい。

 ユイが声をかけると、ローザンも嬉しそうな顔をして、こちらにやって来た。
 こいつも人の事は言えない。結構甘いもの好きだ。

 特に取り決めがあったわけではないが、ユイが研究室に常駐するようになって、茶を淹れるのはユイの仕事になってしまった。

 他にする事がなくてヒマだからと、彼女が進んで淹れてくれる。
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