雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 ユイの作るお菓子は美味い。そして茶を淹れるのも上手い。

 ユイはニッポンで、オーエルという仕事をしているらしい。
 仕事の内容は事務処理や電話応対だが、上司に来客があった時は、茶を淹れて接客しなければならないという。

 だから自然に上手くなるのだと言っていた。

 ユイが淹れた茶を飲みながら、ロイドはパルメから聞いた怪現象の話をした。

 ローザンは誰かが内緒で動物を飼っているのではないかと言ったが、消えた料理は動物の食べるようなものではないし、量が多すぎる。

 するとユイは、殿下が王宮内に隠れていて、こっそり料理を食べているのではないかと推理した。

 ローザンの意見よりは、信憑性がある。
 だが、王宮内は真っ先に捜索隊が隈無く捜索していて、同時に王宮外もロイドのマシンが捜索している。
 殿下の隠れる場所などないのだ。

 それを説明すると、ユイは不服そうに頬を膨らませた。

 料理消失の謎は解けないまま、休憩時間は終わり、そのまま午前中は過ぎ去った。
< 133 / 374 >

この作品をシェア

pagetop