雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
小一時間ほどして、ラクロット氏から連絡が入った。陛下に急用を仰せつかったので、ユイを迎えに来て欲しいという。
ロイドは研究室の留守番をローザンに頼んで、貴賓室に向かった。
廊下で待っていると貴賓室の扉が開き、ジレット嬢とその侍女に続いて、ユイとラクロット氏が出て来た。
ロイドはジレット嬢に軽く会釈して見送った。
すぐにラクロット氏がロイドに一言告げると、足早に陛下の執務室に向かう。
みんなを見送った後、ユイはロイドの元に歩み寄った。
ユイはロイドがわざわざ迎えに来た事を大袈裟だと言ったが、貴賓室の辺りは殿下の政敵である貴族たちが出入りしている。
先日の東屋の事件を鑑みても、誰が敵か味方か判別できないユイが、ひとりでうろつくのは物騒なのだ。
ついこの間、穴に落とされそうになったのに、ユイは緊張感がなさ過ぎる。
少しは緊張しろと注意すると、ユイはムッとしてロイドを睨みながら告げた。
「会うのは週に一回くらいにしようって、ジレットに言っといたわ」
「そうか」