雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
「探知機を設置した遺跡だ。他に、カノン、ディケム、ロングヴィル、ラフルールにも設置している。三年前から、時空の歪みを観測してるんだ」


 ロイドは遺跡調査に同行している内に、謎の装置が作動した時、微妙な時空の歪みが生じる事を発見した。

 約三十年に一度、全遺跡の装置の活動が活発になる時期がある事は、すでに考古学者の間では知られている。

 時空の歪みと装置作動の規則性を探る事で、新たに作ろうとしている、時空移動装置に応用できるのではないかと考えたのだ。

 ローザンが不思議そうに尋ねた。


「時空移動装置って、何に使うんですか?」
「他の世界に行けたら、おもしろいと思わないか?」


 ローザンは微妙な表情で首を傾げながら、顔を引きつらせる。
 いつの間にかローザンの後ろにやって来ていたユイも、苦笑に顔を歪めた。

 こういう反応は、見慣れている。
 ロイドは画面に向き直り、新たなウインドゥを開いた。
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