雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
「彼女? 女性に殿下の身代わりを頼むのですか?」
「大丈夫です。私に考えがあります」
ロイドはそう言うとラクロット氏に、ラフルールの空港と港、街道の出口に見張りをつけるように指示を出した。
そして国王陛下への事情の説明と拝謁の許可、殿下の服を一式持ってきてくれるように頼んだ。
ラクロット氏は了承し、足早に研究室を後にした。
ラクロット氏を見送り、ロイドは女を説得するため、装置に向かった。
装置の誤動作の原因が判明しない限り、この女を元いた世界へ帰す方法など、わかりはしない。
という事は、しばらくここに、いてもらう事になる。
野放しにして殿下と同じ顔で、その辺をうろつかれては困るからだ。
どうせタダ飯食わせるなら、存分に協力してもらおう。
それに、試してみたい事がある。
ロイドは白衣の上から、ポケットの中のピルケースを、そっと確かめた。