雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 イヤな予感に背筋が凍るような思いがした。
 ロイドは片手でハンドルを握り、駆動補助のスイッチを入れて、自転車をこぎ始めた。


「何があった?!」


 自転車をこぎながら尋ねると、ローザンは泣きそうな声で答えた。


「ユイさんが、怪しい奴に連れ去られたかもしれないんです!」


 最近はおとなしくいう事を聞くようになったと思って油断した。

 ローザンの話によると、セギュール侯爵の使いの者が、殿下に内密の話があると言って、ユイを研究室から連れ出したらしい。
 行きがけに見た、あの馬車がそうかもしれない。

 一通りローザンから事情を聞くと、ロイドは通信機をポケットに収め、全力で自転車を走らせた。

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