雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 ロイドのパスワードは、研究室のメインコンピュータのみならず、リモートで接続された科学技術局にある、ホストコンピュータの全データにアクセスが可能なのだ。

 ローザンがそれを利用して悪事を働くわけがない事は分かっていても、パスワードを教えた事実が発覚すれば、ロイドは局長職を追われるだけでは済まない。

 王宮の正面入口で自転車を降り、長い廊下を駆け抜けて、ロイドは研究室に駆け込んだ。


「ロイドさん!」


 ロイドの姿を認めたローザンが、不安そうな表情で駆け寄ってきた。

 やり場のない怒りが沸々と湧いてきて、ロイドはいきなりローザンを殴りつけた。

 小柄なローザンは、あっけなく床に倒れた。
 その白衣の襟元を両手で掴んで引き立て、ロイドは怒鳴る。


「あいつを見張ってろと言ったはずだ! なぜ行かせた!」

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