雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
ローザンは目を伏せて、力なくつぶやく。
「すみません……」
ロイドはローザンから手を離し、メインコンピュータに駆け寄った。
急いでプログラムを起動し、ユイの居場所を確認する。
画面に研究室を中心にした距離を示す同心円と、ユイの位置を示す赤い点が表示された。
距離からして、まだ王宮の敷地内にいるようだ。それもかなり近い。
王宮の見取り図を重ね合わせる。居場所が判明した。
振り返るとローザンが、すぐ側まで来ていた。
「ユイは馬車置き場にいる。ラクロットさんは?」
「警備隊の詰め所にいます」
「すぐに連絡してくれ。警備隊に馬車の通路を塞ぐように。それと、建物内部から馬車置き場に通じる通路に待機するように。オレに考えがある。ユイの……殿下の身の安全を確保する方が先決だ。オレが合図するまで動かないように伝えてくれ」