雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
「こっちだ————っ!」
あまりの轟音に、耳栓をしている自分自身も、結構うるさい。
ユイも顔をしかめている。
無防備だった男は、たまらず目を固く閉じて、耳を塞いだ。
ロイドはすかさず、その腕を逆手に取ると、背中の後ろでひねりあげた。
こいつには、もう少し痛い目に遭ってもらう。
ロイドは笑顔のまま大声で、自己紹介に始まり、他愛もない事を男の耳元で話し続けた。
少しの間そうしていると、通路の奥から、待機していた警備隊が現れた。
ロイドが男の身柄を引き渡すと、警備隊は再び王宮の中に引き上げていった。
それを見送りながらロイドは、自分の首にリモコンを当てて、ボタンを押した。
ユイが先ほどの大声を不思議そうに尋ねるので、拡声器のマイクロマシンについて説明した。
あれほど研究室から出ないように、身辺には気を配るように言っておいたのに、ユイはいう事を聞かなかった。