雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 言ってやりたい事は山ほどあったのに、ユイの無事を確認できた事で、もう、どうでもよくなった。


「大丈夫か?」


 静かに問いかけると、ユイは気まずそうに返事をした。


「うん……」
「行くぞ」
「待って」


 ロイドが背を向けようとした時、ユイはひざから力が抜けたように、その場に崩れ落ちそうになった。
 ロイドは慌てて駆け寄り、抱き止めた。


「ケガでもしたのか?」


 ユイの身体が、小刻みに震え始める。
 そして、見上げる黒い瞳から涙が溢れた。
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