雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
「おまえ、これが何かわかるか?」


 ユイは見た途端に、ロイドの予想通りに答えた。


「ケータイ?」
「やはり、そうか」


 手に取り少し眺めた後、ユイの目の色が変わった。
 どうやらニッポンのものらしい。
 ロイドはブラーヌから聞いた遺跡の活動期の事や、異世界に通じている事を話した。

 ユイが攫われそうになったという事は、殿下の行方不明について、誘拐の線は、ほぼ消えたと考えていい。
 身代金の要求も犯行声明もなかったので、元々可能性は薄かったのだが。

 代わりに遺跡が活動期に入っていたせいで、考えたくもなかった最悪のケースが浮上してきた。

 殿下は異世界に飛ばされてしまったかもしれない。

 遺跡の稼働データを、調べてみる必要がある。
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