雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 ロイドはそれをユイに説明し、共に研究室に向かった。

 研究室に向かいながら、ユイを救出するまでの経緯を話した。
 そしてユイから、あの男に連れ出された時の状況を聞いた。

 ローザンは最後まで、ユイが研究室を出る事に難色を示していたという。
 なのにユイが、困っているあの男への情にほだされて、無理を通して出てきたらしい。

 第三者の前で、ユイは殿下だ。ローザンがそれ以上、強硬な態度に出られなかった事は頷ける。

 ユイの身を案じるあまりに取り乱して、ローザンを叱責した事を、ロイドは酷く悔やんだ。



 研究室に戻ると、ローザンがホッとしたような表情で、笑いながらユイに駆け寄ってきた。

 頭を下げて礼を言うユイに、ローザンは恐縮している。本当に人のいい奴だ。

 先ほどの事で少し気まずいが、諸々の事を急いで陛下に報告する必要がある。
ここはローザンに頼むしかない。
 ロイドは二人の話に割って入った。

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