雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜

「どうして一日は、二十四時間しかないんだろう」(1)

 ロイドはフラフラと移動し、いつものように自分の机の上だけを残して、部屋の灯りを消した。

 そしてメインコンピュータ横の自分の席に着き、ぼんやりと考え始めた。

 やらなければならない事は山ほどある。
 考えなければならない事も。

 一番簡単な事は、ユイをニッポンに帰す事だ。

 ユイのいた場所の座標は分かっている。
 マシンの転送機能を拡張して、逆転送可能にするだけでいい。
 改良自体、難しくもない。

 だが、ユイを帰す事は、殿下が見つかるまで出来ない。

 もしも殿下が、本当に異世界に飛ばされたのだとしたら、殿下を捜す事の出来る時間は、遺跡の活動期が終わるまでの二十日間のうち、たったの百七十秒だ。

 そしてその時間は、三十時間ごとに十秒ずつ減っていく。

 次の同期がとれる明日の十四時までに、マシンの改造が終わるとは思えない。
 改造しなければならない箇所はたくさんあるのだ。

 そして最後の一回はユイのために使うとすれば、残る時間は百五十秒。

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