雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
「偉かったな。よくユイを守ってくれた」


 小鳥の腹を探り羽毛に覆われた表皮をめくると、軽くて硬い樹脂製のボディが露わになった。

 脇腹の辺りにあるフタを、先の細いドライバーで開け、中からメモリチップを取り出す。

 机の隅に置いてあったテスト用のボードに、取り出したメモリをセットし、エラーチェックを行った。
 思った通り、エラーは検出されなかった。

 ロイドは机の引き出しから予備のボディを取り出し、メモリチップを挿入した。

 飛行機能を備えたロボットは、テスト中によく墜落して破損するので、あらかじめ予備のボディを何体か用意してある。

 特にこの小鳥ロボットは、これまでの昆虫ロボットに比べて、人工知能も運動性能も大幅に向上させてある。

 そのため、これまでのセンサボードでは、飛行速度にボードの処理判断速度が追いつかず、高速飛行中に天井や壁に激突して何度か大破した。
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