雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜

「あなたの女の好みなんて、どうだっていいわよ」


 こちらこそ、そんなつもりで言ったわけじゃない。
 さっきまで怒っていたのに、切り替えの早い奴だ。

 そんな事より、本題に入る事にする。


「まぁ、体型はともかく、その声は何とかしないとな」
「だから、無理だって言ってるでしょ?」
「オレにかかれば無理ではない」


 ロイドはニヤリと笑い、ポケットからピルケースを取り出した。
 フタを開け、中から銀色のマイクロマシンをつまみ、女の目の前に差し出す。


「こいつを飲め」


 女は珍しそうに顔を近づけて、ロイドの指先を凝視した。


「何? これ」
「声帯の振動を制御するものだ」

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