雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 ユイは少し頬を染めて、ロイドの身体を突き放すと、軽く睨んだ。


「バカ……! 人が来たらどうするのよ」
「おまえが言ってた、殿下との禁断の恋か?」


 今朝ユイが言っていた戯れ言を思い出して、ロイドは声を上げて笑った。
 そして目を伏せ、投げやりに言う。


「それで投獄されるなら、その方がいい」
「ロイド?」


 探るように見つめるユイを、ロイドは荒々しく抱きしめた。


「無能な学者として投獄されるより、遙かにマシだ」


 そう言ってロイドは、再び口づけた。

 現実を忘れたくて、頭の芯を痺れさせるユイの唇の魔力に縋る。
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