雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 ロイドは目を細くして、ユイを見つめると額を叩いた。


「音声多重で言うな」


 ホッと息をついて、ユイはロイドのひざから立ち上がった。

 ロイドはメガネもかけず、そのまま少し俯いて、ぼやけた床をぼんやり見つめる。

 突然、ユイの細い腕が、ロイドの頭をそっと抱きかかえた。


「エネルギー充填、百二十パーセントなんでしょ?
 あなたの超優秀な頭脳を存分に働かせて。あなたなら絶対できるから」


 ユイの言葉とその身の温かさにホッとして、ロイドはユイの手をそっと握ると、静かに返事をした。


「あぁ……」

< 193 / 374 >

この作品をシェア

pagetop