雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜

 このマイクロマシンを、ロイドは自分以外の人間に、試してみたかったのだ。
 女は顔を上げ腕を組むと、不愉快そうに言う。


「学者語でしゃべらないで。わかるように説明して」


 話の流れから想像がつきそうなものだが、仕方がないので説明する。


「これを飲めば、女の声が男の声に変わるんだ。わかったらさっさと飲め」


 そう言って、マイクロマシンを鼻先に突きつけると、女はロイドの手をはたいて睨んだ。


「イヤよ! あなたの作ったものなんて信用できない!」
「誰に向かって言っている」


 ロイドはムッとして、即座に言い返した。

 自分は科学者として、一流の部類に入ると自負している。
 科学技術局のトップだと名乗ったのだから、そのくらい分かりそうなものだ。

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