雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
「このまま何年も王子様が見つからなかったら、私、ジレットと結婚しなきゃならないのかな」
不安を言い当てられたような気がして、ロイドは内心ギクリとした。
それを悟られて、ユイまで不安にさせたくない。
ロイドは心とは裏腹に、穏やかな表情を湛え、抑揚のない声で言う。
「そうなるだろうな」
ユイは笑顔を引きつらせた。
「だって女同士よ? できるわけないのに、今度は世継ぎが生まれないって問題になるんじゃないの?」
ロイドは表情を変えることなく、機械的に言う。
「子供なんかどうとでもなる。禁忌のクローン技術を使えばな。殿下の体細胞と遺伝子情報は科学技術局に保管されている。偽者が現れたりした時の科学捜査のためだ。局長のオレが許可すれば利用は可能だ」