雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜

「凶暴な女だ」(2)


 そもそも、ついさっき出会ったばかりの者に、ロイドの作った物の善し悪しなど分かるはずがない。

 にもかかわらず、”あなたの作ったもの”と限定して、けなされた事にムカついた。

 ロイドが睨みつけると、女はたじろいだ様子で、両手を広げ反論する。


「だって、この機械だって壊れてたじゃない」


 一体何を聞いていたんだ、と一気に脱力する。
 ロイドは額に手を当て、目を伏せた。


「壊れてたわけじゃない。誤動作は想定外の外的要因によるものだ。オレが欠陥品を作ったのでも、今日初めて動かしたのでもない。これまでは正常に作動して、それなりの実績もある。でなければ、大切な殿下の御身の捜索に、この装置を使用する事を陛下がお許しになるわけないだろう」


 そして、再びマイクロマシンを差し出した。

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