雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 身体も頭も疲れているはずなのに、この二日間、深夜に部屋に戻って眠ろうとしても、頭がグルグル働き続けて眠れない。

 ロイドは眠るために、毎夜酒を飲みながらタバコを吸った。

 酒には強いので、かなりの量を飲まないと、眠くなるほどは酔えない。
 かといって夜中から飲み過ぎると、さすがに翌日に残ってしまう。

 タバコを吸うと、回りが早くなるので、少ない量でも酔えるのだ。

 二日前からユイは、毎日夕食時まで研究室に居残っている。
 そして昨日も今日も、午後三時にお菓子を作ってくれた。
 これからも毎日、作ると言っている。

 何も手伝えない事を気に病んでいたので、彼女なりの気遣いなのだろう。

 ユイはローザンが帰った後、茶を淹れてくれる。
 その時少し話をするだけで、後は黙ったまま窓辺の椅子に座り、ロイドの作業を見つめている。

 ロイドの作業中に、ユイは決して余計な事を話しかけてこない。
 邪魔をしないようにしているのだろう。

 特に話をしなくても、ユイが近くにいるだけで、なんとなく苛立ちが軽減されているような気がした。
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