雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
「始まるぞ」


 そう言って、街の外の遺跡に目を向けた途端、青白い光の柱が天に向かって立ち上った。

 いつもとは比べ物にならないほど、太く明るい光の柱に圧倒される。

 だが今、この時、異世界への通路が開いているのかと思うと、焦燥感に苛まれ、ロイドは恨み言をつぶやいた。


「こんな時でなければ美しい光景なんだろうが、一回無駄にしたかと思うと忌々しい」


 やがて光が収束すると、先ほどの恨み言が気になったのか、ユイはこちらに視線を向けた。
 ロイドは、おどけたように少し肩をすくめて、天を指差した。


「大陸全土を見渡せる上空から見たら、壮観だろうな。全遺跡が一斉に光る様は」


 ユイは何も言わず、ロイドをじっと見つめる。
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