雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 途端にユイはうろたえて、腕の中から逃れようとする。
 ロイドはユイの身体を引き寄せ、耳元で囁いた。


「子供じゃないんだ。わかるだろう?」
「えーと、そう言う意味じゃ、私、子供だから」


 声を上ずらせて、乾いた笑いを漏らすユイを、ロイドは少し目を見開いて見つめた。


「そうなのか? そういえば、キスも初めてだって言ってたな」
「……え……」


 ユイは気まずそうに、言葉を失った。

 強がってウソをついた事が、ばれていないとでも思っていたのだろうか。
 そんな強がりで照れ屋なところも、今は全てが愛おしい。

 ロイドは笑いながら、改めてユイを抱きしめた。


「まあいい。それはそれで楽しみだ」
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