雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
「こいつも、一年かけてオレが自分の身体で臨床試験を行っている。人体への実害も常用による弊害もない事は立証済みだ。安心して飲んでいい」


 ここまで細かく諭すと、さすがに彼女も安心したようだ。
 ホッとした途端、つい口が滑った。


「もっとも、オレが試したのは男用だから女用のサンプルは欲しかったところだ」


 思わず本音を口走ったのがまずかった。
 ロイドがいくら取り繕っても「絶対イヤだ」と頑なに拒否する。

 この女を実験サンプルにするのが、本来の目的ではない。
 これ以上押し問答を続けても、時間の無駄だ。

 ロイドは軽く苛ついて舌打ちすると、口で説得するのを放棄し、実力行使に出た。

 肩を掴んで押し倒すと、女は小さな悲鳴を上げて、抗うように腕を伸ばした。
 その両手首を捕まえ、身体の上に自分の身体を乗り上げる。

 細い身体は思った以上に非力で、体重をかけただけで容易に押さえ込む事が出来た。
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