雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 この甘い唇を、後何回味わう事が出来るのだろう。

 少しして唇を離すと、ユイはロイドの胸に顔を伏せて、小さくつぶやいた。


「……好き……」


 ユイの言葉に、舞い上がるような高揚感と、たたき落とされたような衝撃を同時に感じた。

 ロイドは聞こえなかったふりをして、メガネをかけながらユイの顔を覗き込む。


「ん? 何か言ったか?」


 もう一度言われたら、本当に連れ去ってしまうかもしれない。

 だがユイは、俯いたまま小さく首を振った。


「なんでもない」

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