雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 歯止めが必要だ。

 ロイドはユイから離れ、耳元で冷たく囁いた。


「オレなんか、好きになるな」


 ユイの反応を待たずに、ロイドは背を向け、真っ直ぐ自室に戻った。

 部屋に入りガラス戸を閉めた時、テラスでユイの叫び声がした。


「この、頑固者……!」
「うるさい……!」


 ロイドは頭を抱えて、その場に座り込む。

 どうして余計な事には鋭いんだろう。
 ユイはロイドが連れて逃げるつもりのない事を、察したらしい。

 ユイを守りたい。
 ユイを手放したくない。
 けれど守るためには手放さなければならない。
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