雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
第三話 終わりは始まり

「それでいい」(1)

 窓の外にそぼ降る雨を、ロイドはぼんやり見つめていた。
 今日は気が付けば頭が過去へと飛んでいる。
 それほどユイに会いたい気持ちが募っているという事なのだろうか。


(我ながら重症だな)


 出会った三ヶ月前には、これほどユイに惚れるとは思ってもみなかった。

 女の守備範囲はかなり広いので、ユイは一応守備範囲内にはあった。
だが、ど真ん中からはかなり外れている。

 にもかかわらず、今はもうユイ以外の女はいらないと思えるほど、ユイを愛している。

 ユイの何がそうさせたのか、考えてみてもよく分からない。

 予想外の反応を返すおもしろさも、あの甘い唇も、心安らぐ温もりも、全てはきっかけにしか過ぎない。

 美味い茶やお菓子も、仕事の邪魔をしないというのも、ポイントは高いが、強がりで頑固でニブイところも、全てひっくるめてユイが好きだ。

 これほどユイの事ばかり考えていては、今日はもう仕事にならないだろう。

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