雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 女の守備範囲が広いロイドでも、苦手な女はいる。
 フェティがその一人だ。

 ロイドより三歳前後年下のフェティは、煌めく美しいブロンドに澄んだブルーの瞳を持つ整った顔立ちで、ユイより大分背は低いが、きめ細かな肌と抜群のプロポーションを誇る。

 見た目だけならフェティは、ど真ん中の女なのだが、生真面目で冗談が通じない。

 一度下ネタの冗談を言ったら、思い切り嫌悪感を露わにし、局長がそんな下品な事では困ると、延々二十分くらい説教された。

 下手に頭が切れるので、口で彼女に勝てる気がしない。

 そんな彼女に、恋人がいるという噂を耳にした事がある。

 いったいどんな手を使って、この難しい女を落としたのか、教えを請いたいと真剣に思ったものだ。

 女としては苦手だが、仕事の上ではフェティほど頼れる者は局内にいない。

 生真面目なフェティは責任感も強く、統率力もあるので、安心して留守を任せられる。
 あまりに安心して任せすぎるので、度々説教を食らうのだが。
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