雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜

 雨の日に仕事に出かけるのは億劫だが、仕事をしない代わりに、ランシュの見舞いに行ってみようと思った。

 白衣を着て病院内をうろついていると、医者に間違われるので、ロイドは白衣を脱いで、代わりにジャケットを羽織る。

 ラクロット氏に外出する旨を伝え、傘を持って部屋を出た。

 外に出ると、先ほどに比べて、雨は随分弱くなっていた。
 霧のように細かい雨が、音もなく静かに降りしきる。

 ロイドは王宮の広い敷地を抜けて、正門をくぐり、ラフルールの中央病院を目指して、坂道を下り始めた。

 静かな霧雨の中を黙々と歩いていると、頭の中はまたしても、ユイのいた過去へと遡っていった。

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