雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 広域人物捜索装置の逆転送機能は、昨日完成した。
 ユイと共にニッポンに逃げるという手もある。

 チラリとそういう考えが、頭をよぎった。
 クランベール内では、どうしても生きていく事すら出来ない。
 けれど、どこへ逃げても、ローザンに迷惑がかかる事に変わりはない。

 打ち明ければ、彼はきっと笑顔で協力してくれそうな気がする。
 だからこそ、巻き込むわけにはいかないのだ。

 人のいいローザンは、他にも手伝える事があるなら、時間を延長してでも手伝うと申し出てくれた。

 遺跡の同期に合わせたシフト勤務も、しなくていいと言われたが、そこまで甘えるわけにもいかない。
 元々ローザンには何の関係もない仕事なのだ。

 それにローザンがいない間、彼の分まで働いて忙しくしている方が、ユイの事を考えなくて済む。

 ローザンと一緒に検索結果の検証をしていると、向こうからユイが呼んだ。


「ロイド、ローザン、お茶入ったよ」

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