雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 ユイは不思議そうに首を傾げる。


「歯止めって、何の?」


 少し気まずくて、ロイドは顔を背けた。


「オレ自身のだ」


 ユイをニッポンに帰すと決めたのに、高まっていくユイの想いを目の当たりにすると、決意が揺らぎそうになる。

 連れて逃げても不幸にしかできないから、あの言葉は歯止めだった。

 それを打ち明けると、ユイは申し訳なさそうに、首をすくめた。


「ごめん。余計な事言って」

「いい。気にするな。元々オレは歯止めのきかない男だ。こんなに長期間、キス止まりなのは快挙だ」

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