雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
「あなたに言われたくありませんよ。はい、ユイさん。鎮痛剤です」


 ローザンは笑顔で、白い小さな紙袋をユイに差し出した。
 ユイは礼を言って、それを受け取り、中を覗く。

 不思議そうに見上げるユイに、ローザンは笑いながら何やらコソコソと耳打ちする。
 ユイはそれを聞いてクスリと笑った。

 なんとなく、おもしろくない。

 軽く苛ついて、ロイドは大声でローザンを呼んだ。


「何をコソコソやっている。さっさと仕事に戻れ」
「はいはい。ちょっと話してただけで、そんなにヤキモチ焼かなくても……」


 面倒くさそうにブツブツ言いながら、ローザンはこちらにやって来た。
 ロイドはすかさず額を叩く。


「誰がヤキモチ焼いている」
「違うんですか?」


 イタズラっぽい表情で見上げるローザンの額を、ロイドは再び叩いた。


「うるさい」


 ローザンはクスクス笑いながら席に着いた。

 ロイドも席に着き、チラリとユイに視線を向ける。
 ロイドが渡した紙に、ユイは何やら書き込んでいた。
 時々ペンの頭を唇に当て、考え込んでいる。

 ユイがどんなおもしろい推理を展開するのか、少し楽しみにしながら、ロイドはいつもの仕事に戻った。

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