雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 ロイドは親と暮らした事がないので、親の心情は分からない。

 ユイはブラーヌをロイドの親だと思っているようだが、ロイド自身は物心ついた頃から、ブラーヌを親だとは認識していない。

 本人からも何度か「オレはおまえの親じゃない」と言われてきたからかもしれない。

 子供の頃、時間を忘れて日が暮れるまで、外で遊んだ事がある。
 家に帰ったら、珍しく家にいたブラーヌが、素知らぬ顔で石版の古代文字に熱中していた。

 一緒に遊んだ子は心配した親に怒られたと聞いたが、ブラーヌは怒ったり、たしなめたりしなかった。
 いつもと変わりなく、ロイドの作った遅めの夕食を食べ、再び自分の世界に没頭した。

 冷たく扱われた事はないが、甘えた記憶もない。

 生きていく上で必要なものは与えてもらったし、拾ってくれた事には感謝している。

 だがやはり普通の親子関係とは、かけ離れていると思う。

< 260 / 374 >

この作品をシェア

pagetop