雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜

「オレのキスは寝てしまうほど退屈だとでも言うのか!」(1)

 いつにも増して予想外で突拍子もない推理に、ロイドは呆気にとられた。

 ユイは得意げに、自分の仮説を一気にまくし立てる。

 ケータイやロイドは遺跡のすぐ側に現れたのに、遺跡から遠く離れた王宮でユイが現れたり料理が消えたりするのは不自然だと言う。

 だが王宮に遺跡があるなら、説明がつく。

 現存する遺跡には、稼働スイッチがない。

 もしも自然エネルギーによる稼働スイッチがあるなら、過去に一度も周期に狂いが生じていないのはおかしい。

 そもそもユイが現れた日に、全世界規模の天変地異や気候変動がなかったにも拘わらず、一斉に全遺跡の活動期の周期に狂いが生じた事が、それを裏付けている。

 ユイはどこかに全遺跡を制御する装置があるはずだと主張した。
 現存する遺跡にないなら、王宮にある遺跡にその機能がある可能性が高いと言う。


「オレはここに住んで、かなりになるが、そんなものは見た事も聞いた事もないぞ」


 ロイドが半信半疑で言うと、ユイは平然と答える。

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