雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
「えー? 声がヘン。何? これ」


 彼女も気付いたようだ。
 その声を聞いて、ロイドは目を見張った。


「驚いたな。声まで殿下にそっくりだ。骨格が似てるからかな」
「王子様ってこんな声なの?」
「あぁ。立ってみろ」


 そう言ってロイドが立ち上がると、今度は女も素直に立ち上がった。

 改めて頭の天辺から足先まで眺める。
 これほどそっくりな身代わりは、他にいないだろう。

「声も顔も背格好も、ほぼ見分けが付かない。おまえの方がかなり細いが、服を着たらわからないだろう。おまえ、もう少し太れ」


 ロイドの言葉に、女は不愉快そうに眉を寄せ腕を組む。


「どうして私が王子様の体型に合わせなきゃならないのよ」

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