雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜

「地下の方が邪魔が入らなくていい」 (1)

 蔓植物でできた緑のトンネルをくぐり、ロイドはユイと共に庭園の外れにある東屋に来ていた。

 十四時の異世界探索はまたしても失敗に終わり、検証は後回しにしてユイの仮説を確かめる事にしたのだ。

 ユイが転落しかけた穴はあの時のまま放置され、東屋の周りをぐるりとロープが取り囲んでいる。

 側に立てられた立て札には「危険。立入禁止」と書かれていた。

 少しの間立ち止まっていると、横でユイがクスリと笑った。

 別に笑うようなものは、何もない。


「何だ?」


 ロイドが訝しげに尋ねると、ユイは笑いながら答えた。


「前にここから帰る時、あなたがふてくされてたのを思い出したの」

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