雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 他の遺跡とは桁違いに広い空間には、古代文字の刻まれた太い円柱が林立している。

 聞き覚えのある低くうなるような駆動音のする方に目を向けると、通路の左手に例の装置が鎮座していた。

 大きな円盤状の台座の上に太い円柱の立つ謎の装置は、形状こそ他の遺跡のものと同じだが、大きさは一回り大きい。

 そして装置を取り囲むように丸く抉られた壁には、一面にビッシリと古代文字が刻まれていた。

 他の遺跡には、内部に古代文字は一切刻まれていない。

 あらゆる事が、この遺跡が別格である事を物語っているようだ。

 文字の刻まれた壁の中心辺りに、それを決定づけるものを見つけて、ロイドは足早に歩み寄った。

 操作パネルと思しきそれは、ボタンやレバー、計器類が並び、その機能名と思われる文字が刻まれている。

 指差しながら辿ってみるものの、残念ながらロイドには古代文字はほとんど読めず、意味までは把握できない。
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