雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 別に殿下の体型に合わせろ、と言っているわけではない。
 客観的に見て、この女は痩せすぎだ。


「抱き心地が悪すぎる。小骨が刺さってしょうがない」


 そう言うと、女は真っ赤になって怒鳴った。


「あなたに抱かれるつもりないから! ひとの事をイワシの煮付けのように言わないで!」


 イワシの煮付けがどんなものかは知らないが、こちらこそ、そんなつもりは毛頭ない。
 一般論を言ったまでだ。

 凶暴な女も、いちいち反抗する女も、小骨が刺さる女も、ロイドの好みからは大きく外れている。
 ちょうどいいのは、背の高さくらいだろうか。

 そんな事より問題なのは、この言葉の方だ。ロイドは額に手を当て嘆息した。

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