雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜

「明日の朝、殿下が見つかったら、夜が楽しみだな」 (2)

 ユイは実質検索対象外となっている王宮内に、殿下がいるような気がするという。


「確かに盲点ではあるな。転送なしで検索だけ、してみる価値はある」


 そう言うと、ユイは嬉々として尋ねた。


「今から?」

「今は無理だ。それを試すには内蔵プログラムの変更と、基盤への焼き付けが必要になる。大した変更じゃないが、もしもバグってデグレードしたら、今夜の異世界検索に支障がある。明日の朝、試してみよう」

「うん……」


 ユイは思い切りガッカリした表情で俯いた。
 相変わらず分かりやすい奴だ。

 ロイドはクスリと笑い、身を乗り出してユイの頭を撫でた。


「おまえは、やっぱりおもしろい。かなりニブイ奴だと思っていたが、案外鋭いな」

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