雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 その夜二十時の異世界検索は、またしても失敗に終わった。

 ユイの提案を実行するため、プログラムの変更をしなければならないが、ロイドは毎夜の楽しみにしているノルマを果たすため、ユイと共に一旦自室に戻った。

 廊下でユイと別れ、部屋を素通りすると、そのままテラスに向かう。
 ところが、いつもはほぼ同時にテラスに出てくるユイが、出て来ない。

 少し待ったが来ないので、殿下の部屋の方へ向かった。

 灯りは点いている。

 ガラス戸を叩こうと手を伸ばした時、中からユイの悲鳴が聞こえた。
 同時にもうひとり分の声も聞こえたような気がする。

 ロイドは慌ててガラス戸を開けた。
 あっさり開いたので、そのままリビングに駆け込むと、浴室からユイが飛び出してきた。


「ユイ! どうした?!」
「ロイド!」


 駆け寄って抱き止めると、ユイはロイドにしがみついた。

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