雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜

「おまえ、また鍵が開いてたぞ。何があった?」


 ロイドの問いかけに、ユイは黙ってロイドを見上げたまま、浴室の中を指差した。

 訴えかけるようなユイの眼差しを不思議に思いながら、彼女の指差す先に顔を向ける。

 一瞬言葉を失ったと同時に、一気に目が見開かれた。

 浴室の脱衣所には、長い黒髪から滴を滴らせたレフォール殿下が、腰にタオルを巻いただけの格好で立っていた。


「殿下……?」
 ロイドがやっとの思いで声を絞り出すと、殿下は腰に片手を当てて、照れくさそうに笑いながら首をすくめた。


「見つかっちゃったね」

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